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兄だけではない、注目すべき今季のセス・カリーの素晴らしさ

最近の試合でゴールデンステイト・ウォリアーズのスター、ステフィン・カリーがキャリア最高の62得点を記録したことによって、彼の弟――フィラデルフィア・76ersのセス・カリーの注目はより失われています。そのため今季の彼がどれだけ素晴らしいかは、あまり知られていません。

カリーが2020年のオフシーズンにダラス・マーベリックスから76ersにトレードされた時、それは取るに足らない移籍と感じた人もいたかもしれません。しかし、彼は既に新天地に適応しているどころか、求められている役割を十二分に果たしているのです。

カリーに与えられている役割は、もちろんアウトサイドシュートです。昨季のカリーは3ポイントシュート成功率でキャリア最高の45.2%を記録しました。これは昨季に300本以上の3ポイントシュートを打った80人の選手の中で2番目に良い数字です(1位はJJ・レディックの45.3%)。今季はどうでしょうか?まだ7試合ですが、カリーの3ポイントシュート成功率は驚異の54.3%(19-35)を記録しています。また、キャリア通算1,000本以上の3ポイントシュートを打った選手の中で、カリーの成功率は歴代2位の44.6%ということもあまり知られていません(1位はスティーブ・カーの45.4%)。

76ersのスターであるベン・シモンズ、ジョエル・エンビードのデュオは、昨季からアウトサイドシュートの欠点が頻繁に指摘されていました。今季もスペーシングの問題が懸念されていたのは言うまでもありません。しかし、カリーの加入によって76ersは現代的なバスケットボールを取り戻しています。

さらに相手チームにとって厄介なことに、カリーはここまで2ポイントシュートよりも3ポイントシュートを多く打っています(2ポイントシュートは29本、3ポイントシュートは35本)。つまり、ディフェンダーはカリーが3ポイントラインの外側に立っているだけで常に警戒しておかなければならず、それだけでオフェンスのスペースを広げていることを意味します。

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そのカリーを最大限に活かしているのがシモンズです。シモンズはシューティングこそ大きな課題があるものの、パサーとしてはNBA屈指の才能を持った選手です。『PBP Stats』によれば、2016年のNBAドラフトでシモンズが全体1位指名を受けて以降、彼はリーグで2番目に3ポイントシュートへのアシストが多い選手となっています(1位はラッセル・ウェストブルック)。

『Sixers Wire』のカイ・カーリン記者によれば、カリーは自身がシモンズに活かされていることを認め、彼とコート上で「完璧にマッチしている」とコメントしました。

2人はチームメイトになって間もないにも関わらず、2020年10月に76ersの指揮官に就任したドック・リバースHC(ヘッドコーチ)も彼らの相性の良さを把握しています。『NBA.com』によれば、ここまでの7試合でシモンズとカリーが一緒に出場していた時間は、チームで2番目に多い183分間となっています(1位はシモンズとトバイアス・ハリスの190分間)。

エンビードの存在もカリーに良い影響を与えています。彼はリム周辺でディフェンスを引き寄せるため、これによってカリーがオープンな状態で3ポイントシュートを打てるようになります。以下のハイライトを見てみましょう。

『NBA.com』によれば、今季のカリーは相手ディフェンダーと6フィート(約1.8m)以上離れた状況から20本以上の3ポイントシュートを放っています。つまり、彼は自身の3ポイントシュートの半分以上をフリーで打てているのです。

カリーが3ポイントシュートの脅威であればあるほど、シモンズやエンビードはペリメーターやペイント内でより支配的になることができます。シモンズやエンビードが支配的になればなるほど、カリーは3ポイントシュートをフリーの状況でどんどん打てるようになります。単純なように見えますが、こういったループは最も止める手段が無いシステムでしょう。だからこそ、76ersは最初の7試合でリーグ最高の6勝1敗というスタートを切れているのです。

『PBP Stats』によれば、カリーが出場している時の76ersの3ポイントシュート成功率は42.0%であるのに対し、ベンチに下がっている時の成功率はわずか27.1%。もはやカリーのシューティングが76ersを勝利に導いているといっても過言ではないのです。

さらに興味深いことに、カリーはプレイメイカーとしてのスキルも上達させようとしています。カーリン記者によれば、キャリア最高の平均3.7アシストを記録しているカリーは次のようにコメントしました。

「3ポイントラインに立っていると相手が警戒してくるから、色々なことができるようになったんだ」

カリーが今のパフォーマンスをどこまで持続させられるかは分かりませんが、今季の彼がキャリアで最高の役割を担い、最高の貢献をしていることは明らかです。今季をカリーと76ersにとってどれだけ素晴らしいシーズンにできるか、注目してみる価値はあるでしょう。

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『ステフィン・カリー 努力、努力、努力 自分を証明できるのは、自分だけ』

  • 原著:Marcus Thompson,2
  • 著:マーカス トンプソン,2
  • 翻訳:東山 真

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