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波乱に満ちた2020年のNBAを振り返る

2020年のNBAは本当に色々なことがありました。過ぎてしまえば早いものですが、この1年間で我々が経験した出来事は決して忘れられるものではありません。2020年のNBAで何が起きたか、今一度振り返ってみることにしましょう。

デイビッド・スターンとコービー・ブライアント――2人の偉大な人物の死

1月1日(日本時間2日)――新年を迎えたNBAの最初の見出しは、一人の偉大な人物の訃報でした。前コミッショナー、デイビッド・スターンが脳出血によって亡くなったためです。

スターンは1984年2月から2014年2月までの30年間の任期の中で、NBAを世界有数のスポーツリーグに導いた最大の功労者でした。第4代コミッショナーに就任した彼は、薬物使用が横行していたリーグの悪いイメージを払拭するとともに、テレビの普及を活用して試合を放送し、財政破綻の危機も乗り越えました。

今でこそNBAは全世界のあらゆる媒体で放送され、海外からも多くの選手が集まり、熱狂的なファンで溢れかえるようになりましたが、その基盤を築き上げたのはスターンだったのです。現役時代は1990年代にシカゴ・ブルズを6度の優勝に導き、今ではシャーロット・ホーネッツのオーナーを務めるマイケル・ジョーダンも、「デイビッド・スターンが居なければ今のNBAは無かったかもしれない」と語り、彼の功績を称えました。

現実は非情なものです。スターンの死から1ヶ月も経たずして、我々はNBAの歴史を語る上で絶対に欠かせないもう一人の偉大な人物を失いました。

1月26日(日本時間27日)――ロサンゼルス・レイカーズ一筋で20年間プレイし、2016年に現役を引退したばかりのNBAレジェンド、コービー・ブライアントがヘリコプターの墜落事故によって帰らぬ人となりました。それはあまりに唐突すぎる事件であり、あまりに非現実的な事実でした。個人的なことを言えば、彼がこの世に居ないことを今でも信じきれない自分がいます。

マイケル・ジョーダンやレブロン・ジェームズ、ラリー・バード、マジック・ジョンソン、ビル・ラッセル、ウィルト・チェンバレン――NBAには時代によって”顔”となる選手が常にいました。ブライアントは彼らに勝るとも劣らない最高の選手の一人です。彼はレイカーズを5度の優勝に導き、個人としても2008年のシーズンMVP、4度のオールスターMVP、2度のファイナルMVPのほか、オールスター出場は18回、オールNBAチーム選出は15回、オールディフェンシブチーム選出は12回など、数え切れないほどの実績を残しました。

ブライアントの死後、NBAでは彼の追悼セレモニーを行い、試合開始直後には両チームがブライアントの現役時代の背番号である『8』と『24』にちなんだ8秒バイオレーション、24秒バイオレーションを犯すことによって哀悼の意を捧げました。ブライアントと同じ背番号を着用して試合に臨む選手もいれば、ダラス・マーベリックスのオーナーであるマーク・キューバンは、チームの垣根を超えて背番号『24』を永久欠番とすることを発表しました。

今のNBA選手の中には、現役時代のブライアントに憧れて育った選手もいます。彼のレガシーでもある”マンバメンタリティ”は、永遠に受け継がれていくことでしょう。

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オールスターゲームの新たな試み

ブライアントは4度のオールスターMVPを受賞しており、それは歴代最多回数でもありました。オールスターゲームが彼を称えるための手段であったことは確かですが、それがベストな手段の一つであったことも事実でした。

ブライアントの死から4日後、NBAは彼を称えつつオールスターゲームの競争力をより高めるため、新たな試合形式を発表しました。それは最初の3クォーターを全て0-0から開始させ、第4クォーターに最終目標得点が設定されるというものです。最終目標得点は、第3クォーター終了時点の合計得点が多い方のチームに24点を足した数字であり、当然この24点はブライアントの現役時代の背番号にちなんだものとなっています。

かつてない試合形式に、当初は上手くいくかどうか不安の声もありました。しかし、最後までどうなるか分からない白熱した展開をオールスターの舞台で見られたことによって、非常に好意的な意見が多く集まりました。2021年のオールスターは新型コロナウイルスの影響で延期となったものの、今後のオールスターゲームも同様の試合形式で開催される可能性は高いでしょう。

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