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波乱に満ちた2020年のNBAを振り返る

新型コロナウイルスと4ヶ月以上のシーズン中断

2020年初頭から新型コロナウイルスの存在は認知されていましたが、NBAはその影響力を楽観視していました。そんな日常が全て変わったのが、3月11日(日本時間12日)の出来事でした。

この日、NBAでは6試合が予定されており、そのうち4試合は既に行われていました。その時、ユタ・ジャズから一人の選手に新型コロナウイルスの陽性反応が出たことが発表されました。NBAで最初の新型コロナウイルス陽性反応者です。(後にこの選手はルディ・ゴベアであることが発覚しましたが、ここではそのことについて触れません。詳細は以下の記事から確認できます)

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NBAは残っていた2試合を延期させるとともに、史上初となるシーズン中断を決定することにしました。それでも、NBAは数週間のうちにシーズンを再開できるだろうと思っていました。残念ながら、事態はさらに厄介な方向へと進むことになります。

シーズン中断後、各チームで選手やスタッフの新型コロナウイルス陽性反応が相次ぎ、NBAはチーム練習や施設の利用を禁止しました。それどころか、一時は2020‐21シーズンを終了させる案も検討していました。シーズンが終了になっていたとしても、我々は不満を抱くことはできなかったでしょう。

第一に、新型コロナウイルスによるシーズン中断は遅かれ早かれ発生していました。第二に、新型コロナウイルスという未知の脅威から身を守るための情報が少なすぎました。そして第三に、シーズン中断という前代未聞の措置からどのようにシーズン再開に漕ぎ着けるのか、誰も知りませんでした。

しかし、時間は無情にも過ぎていきます。NBAは検討に検討を重ねた結果、シーズンを再開させることを決定し、それを実現させるまでに4ヶ月以上の時間を要しました。

それを長いと感じるか、短いと感じるかは人それぞれです。カジュアルなファンの目線に立って考えれば、約4ヶ月という時間はかなり長かったかもしれません。それは通常のオフシーズンに匹敵する長さであり、それだけあればNBAに対する熱量も下がってしまいます。実際のところ、下位8チームはシーズン再開に含まれなかったこともあり、再開後にファンを完全に取り戻すことはできませんでした。

ただ、たとえそうであっても個人的には約4ヶ月は短かったと言います。NBAはシーズンを再開させるため、明らかにベストを尽くしていました。加えてもう一つ重要なこととして、シーズン中断を決定したのは北米4大プロスポーツリーグの中でNBAが最初であったということも忘れてはなりません。彼らはスポーツの世界を先導していたのです。仮にもっと悪い結末が待っていたとしても、NBAの英断と対応は少なからず称賛されるべきでしょう。

「Black Lives Matter」運動

シーズン中断期間の最中に起きたこととして忘れてはならないのが、「Black Lives Matter」運動です。これは5月26日(同27日)にミネソタ州ミネアポリス近郊で、黒人男性のジョージ・フロイド氏が白人警官の不適切な拘束によって死亡した事件から世界的に広がった抗議運動であり、人種差別を断固として許さないNBAも当然ながら影響を受けました。

NBAは「Black Lives Matter」運動を全面的に支援し、アリーナに「Black Lives Matter」の文字をペイントするほか、選手のユニフォームに決められたメッセージを入れたり、国歌斉唱中に膝をつくことを認めるなど、人種差別や社会的な不平等に立ち向かいました。

結果的にそれが世界にどれほどの影響を与えたかは分かりませんが、NBAというプラットフォームを通じて世界に物事を訴えかけたことは、決して間違っていなかったでしょう。

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