昨季のプレイオフ、イースタン・カンファレンス準決勝第7戦の舞台でフィラデルフィア・76ersが敗れた時、ジョエル・エンビードの目には涙がありました。
その理由は、カワイ・レナードの劇的なブザービーターによって、76ersが衝撃的なシーズンの終わりを迎えてしまったから…というだけではありません。
むしろ、自身の体調不良や膝の痛みによって、チームを失望させてしまったという感情でもありました。
新たなシーズンを迎えるエンビードは、『ESPN』のブライアン・ウィンドホースト氏に対し、昨季の失望感が、体重を20ポンド(約9kg)も落とす原動力となったと語りました。
「ただ、自分のチームを失望させてしまったということを覚えているだけだ。病気や、その他のことが、いつ起こるかなんてコントロールできない。膝も、シーズン後半とプレイオフ全体で、僕を悩ませていた。でも、僕が考えていたのは、チームメイトやチームを失望させないために、何ができるかということだけだったんだ。あるいは都市全体だね。(解決するには)僕の体をもっと良くするしかなかった」
昨季、レギュラーシーズンでは1試合あたり平均27.5得点、13.6リバウンドを記録していたエンビードでしたが、膝の腱炎を機に失速し、オールスター後には12試合に欠場したほか、ラプターズとのシリーズでは1試合あたり17.6得点、8.7リバウンドに終わりました。
エンビードは、こう語ります。
「僕には競争力がある。みんなが僕のことを分かっていると思う。僕は競うことが好きで、勝ちたいんだ。僕の生産性は下がっていくのではなく、プレイオフに向けて上がっていくためにある。だから、僕は彼らを失望させてしまったと感じているんだ。僕たちには、全てにおいて勝てる絶好のチャンスがあった。もし(レナードの)ショットが決まっていなければ、何が起きていたかは分からない」
76ersにとって、エンビードは最も重要な存在と言っても過言ではなく、チームの行く末は彼の健康状態によって左右されるでしょう。
エンビードはもっと多くの試合に出場し、大きな賞を獲得し、そして76ersをイーストのトップにしたいと考えています。
「昨季、僕は今までで最多の64試合に出場した。今季は70試合以上に出場したい。第1シードを獲得し、60試合以上に勝とうとしているから、僕たちにとって良いことになるだろうね。MVPや、最優秀守備選手賞を望むなら、チームの成功は必要になるから、僕は力になるだろう」
とはいえ、昨季の膝の痛みも決して偶発的なものではなく、エンビードはもとより足や膝に問題を抱えているため、自分のペースで戦うことを理解しています。
エンビードは、指揮官のブレット・ブラウンHCや、ゼネラルマネージャーのエルトン・ブランド氏と話し合い、今季は負荷管理の一環として、出場試合数を増やす代わりに、出場時間を減らす方針を打ち出しました。
「昨季は35~36分プレイして、それからスローダウンしていった。今季は30~31分くらいの、適切な数字でプレイするよ。バランスを取るのは難しい。そして僕には競争力がある。みんなと一緒に戦いたいと思っている。でも、70試合に出場すればMVPを獲得できるんだ」