昨年、クリス・ポールがオクラホマシティ・サンダーからヒューストン・ロケッツへトレードされた時、いつ彼が再びトレードされるか…という疑問はたびたび話題になったものです。
若く有望な選手がいるサンダーにとっては、34歳にして3年間で約1億2,400万ドルの契約を残すポールは、再建を目指す上で明らかな障害だと考えられていました。
一方で、優勝経験が無いポールにとっても、経験に乏しいチームでプレイするのは理想的ではなかったと考えられていました。
しかし、彼らは今季を共に戦うことを選び、それは良い結果に繋がったと言えるでしょう。
競争力を落としたと思われていたサンダーは、44勝28敗を記録してウェスタン・カンファレンス5位でプレイオフに進出し、1回戦では第4シードのヒューストン・ロケッツと第7戦までもつれる激闘を繰り広げ、最終的に敗れたとはいえ多くのファンに衝撃を与えました。
-
ロケッツ対サンダーの第7戦から見えた3つのポイント
続きを見る
サンダーに移籍した時点で、大ベテランのポールがチームリーダーの役割を担うのは不思議なことではありませんでした。
しかし、ポールはチームの再建を加速させるために、ちょっとした工夫を凝らしました。
それは、シャイ・ギルシャス・アレキサンダーなどの若い選手の面倒を見つつ、彼らにも”最大限の責任”を負わせるということでした。
『Yahoo Sports』のクリス・ヘインズ記者によれば、ポールは自分の力でチームを引っ張っていくのとは異なるスタイルについて、次のように語っています。
「誰もが、僕が引っ張っていくつもりだと思っていた。それは違う。僕は組織の方向性を気に入っていて、チームの向上に一役買うことができると思っている。コートに立てば誰とでも競い合える――そのように感じてほしかったんだ」
この方法は、昨年の夏にマイアミ・ヒートへ移籍したベテランのジミー・バトラーも行っていることです。
今季のヒートも、サンダーと同様にサプライズチームであったことを考えると、ポールのやり方がいかに効果的であったかを理解するのは難しくないでしょう。
そのため、ポールは下馬評に関わらず、ロケッツとの第1ラウンドでも勝利できると信じていました。
「どんなシリーズになろうと、誰の予想も気にしなかった。どんな試合でも勝てると思っていたからね。僕たちはシーズンを通じて、そうやってハードにプレイしてきたからさ」
今季の優勝は遠かったものの、再建という意味では、サンダーはポールのおかげで大きな成功を収めました。
この再建が実を結ぶ日も、それほど遠くはないのかもしれません。