考察

【NBAファイナル2020】闘志を燃やすジミー・バトラーが40得点、ヒートが1勝を返す第3戦を分けた3つのポイント

10月4日(日本時間5日)に行われたロサンゼルス・レイカーズ対マイアミ・ヒートのNBAファイナル 第3戦は、第4クォーターに追いつかれながらも再びリードを広げたヒートが115-104でシリーズ1勝目を挙げました。

ここでは、そんな第3戦の勝敗を分けた3つのポイントを振り返っていくことにしましょう。

全ての仕事をやり遂げたジミー・バトラー

第3戦のMVPがヒートのジミー・バトラーであることに議論の余地はありません。

この日、バトラーは40得点、11リバウンド、13アシスト、2スティール、2ブロックと、求められる全ての仕事をやり遂げました。

ファイナルの舞台で40得点以上を記録しながらトリプルダブルを達成した選手は、NBAの歴史上でバトラー以外にジェリー・ウェストとレブロン・ジェームズしかおらず、ここに勝利という条件が加わると、その偉業を達成したのはバトラーのみとなります。

バトラーが素晴らしいのは、このパフォーマンスが試合のある時点から爆発的に始まったのではく、試合全体を通じて行っていたということです。

さらに、彼は第2戦で44分44秒という膨大な時間に出場しながら、第3戦ではそれを上回る44分51秒に出場していたということも忘れてはなりません。

クォーター得点(FG 成功-試投)リバウンドアシスト
1Q8(4-5)13
2Q11(4-7)53
3Q11(3-3)32
4Q10(3-5)25
40(14-20)1113

もう一つの驚くべき点は、バトラーがこの試合で1本も3ポイントシュートを打っていないということです。

ファイナルの舞台で40得点にも及ぶパフォーマンスを見せれば、相手のディフェンダーがその選手に細心の注意を払うのは当然のことでしょう。

選手はアウトサイドシュートやリムへのアタックなどを使い分けることによって、相手のディフェンダーが対処しにくいように工夫するものです。

しかし、バトラーはアウトサイドシュートを必要とすることなくペリメーター内のみでショットを打ち、それもフィールドゴール成功率 70%という非常に効率的な生産性を見せました。

これはヒート全体の強みと捉えることもできます。

バトラーは試合終盤でも一貫性を保っていたにも関わらず、レイカーズのディフェンダーは彼に対してダブルチームをかけることがありませんでした。

それはタイラー・ヒーローやダンカン・ロビンソン、ケリー・オリニクといった選手たちをフリーにするリスクが高いことも事実であり、実際にバトラーの13アシストという数字は、彼にダブルチームをかける意味がほとんどないことをレイカーズのディフェンダーに悟らせたと言えるでしょう。

これほどまでにエナジーに満ち溢れたバトラーのパフォーマンスによって、レイカーズは「pick your poison(どちらか一方の毒を選ぶ)」状態に陥っていたのです。

アンソニー・デイビスに対する厳しいディフェンス

レイカーズのアンソニー・デイビスは第1戦、第2戦でそれぞれ34得点、32得点と、ファイナルMVPも視野に入るパフォーマンスを見せていました。

ヒートにとってデイビスは最も対処しなければならない課題でしたが、バム・アデバヨが怪我で欠場している以上、彼を止めるのはほぼ不可能なようにも見えました。

しかし、第3戦で我々は目を疑うような光景を見ることになりました。

ヒートはデイビスに対してかなり厳しいディフェンスを仕掛けたことによって、デイビスは第1クォーターにフィールドゴールを1本も打つことができなかったどころか、7分間で4本のターンオーバーと2本のファウルを記録し、プラスマイナスでは-13ポイントを記録したのです。

第2クォーターでデイビスはようやく5得点を記録しましたが、そこでもターンオーバーをさらに1本増やし、彼のプラスマイナスは前半だけで-17ポイントまで広がりました。

第3クォーターに10得点を記録してようやくエンジンがかかり始めたようにも見えましたが、序盤に抑えられた代償は大きく、それに加えて第4クォーターでも無得点に終わったことにより、レイカーズが第3戦に勝利する希望は失われました。

不甲斐ない結果に終わったデイビスを責めるべきでしょうか?

むしろ、デイビスにこれまで苦しめられてきた中で、彼をここまで苦しめて見せたヒートのディフェンスを称賛するべきでしょう。

どれほどオフェンスに長けたスターであっても、ジミー・バトラーやアンドレ・イグダーラ、ジェイ・クラウダーらに囲まれれば、やりたいことを自由にやれるはずもありません。

影のMVP:ケリー・オリニク

バム・アデバヨの穴を全て埋めることはできないにしても、ヒートのケリー・オリニクはレイカーズにとって十分すぎる悩みの種となったはずです。

オリニクは第2戦で24得点を記録した後、第3戦でも5本の3ポイントシュート成功を含む17得点を記録しました。

高い精度で3ポイントシュートを沈めるビッグマンがアウトサイドに立っているというのは、どのチームにとっても厄介な話です。

その結果としてレイカーズのディフェンス陣に何が起きたのか、以下のプレイから明らかになります。

レイカーズはオリニクをアウトサイドでフリーにできないことを知ってしまったため、ペリメーター内は必然的にスペースが生み出されます。

これはバトラーがペリメーター内でプレイしやすくなった理由の一つでもあるでしょう。

オリニクは第3戦でバトラーを完璧に補完していたため、彼には影のMVPという称号が与えられるべきです。

関連記事
【NBAファイナル2020】主力2人を欠くヒートに難なく勝利したレイカーズ、第2戦の勝敗を分けた4つのポイント

続きを見る

『ステフィン・カリー 努力、努力、努力 自分を証明できるのは、自分だけ』

  • 原著:Marcus Thompson,2
  • 著:マーカス トンプソン,2
  • 翻訳:東山 真

歴代最高のシューターとして謳われる、ステフィン・カリーの人生にフォーカスした待望の評伝の日本語版!

ウォリアーズファンはもちろん、全てのNBAファンにオススメの一冊です!

Amazon

楽天ブックス

Yahoo!ショッピング

-考察
-, ,

© 2024 NBA TOPICS