NBAで選ばれた1年目と2年目の選手が、『チームUSA』と『チームWORLD』に分かれて対戦するライジングスターズも6回目の対戦を迎え、今年は2月14日(日本時間15日)に行われました。
過去の対戦成績はチームUSAが2勝、チームWORLDが3勝だったことも関係してか、チームUSAが151-131で勝利し、通算対戦成績を振り出しに戻しました。
MVPはチームUSAのマイルズ・ブリッジズ(シャーロット・ホーネッツ)で、20得点、5リバウンド、5アシスト、3スティールとスタッツだけでも十分な記録を残したほか、第3クォーターだけでも13得点を挙げるなど、MVPに値する大活躍を見せています。
ここでは、大いに盛り上がった2020年のライジングスターズを、もう少し深く振り返ってみましょう。
ユーモアな瞬間
祭典での試合ともなれば、普段は見られないような面白おかしい瞬間がいくつも存在します。
まずはじめに、会場であるユナイテッド・センターのリムマイクが何らかの理由で大音量に設定されていました。
テレビで観戦する分には気にならなかったかもしれませんが、会場では誰かがダンクを叩き込むたびに、大きな音が響き渡っていたようです。
試合の中で起きた最もユーモアのある場面の一つと言えば、前半終了間際にチームWORLDのルカ・ドンチッチがハーフコートから放ったショットでしょう。
このショットに会場は大きく沸きましたが、それ以上に面白かったのはドンチッチと、彼にマッチアップしていたチームUSAのトレイ・ヤングの反応でした。
ちなみに試合後、ヤングはドンチッチに対して、ハーフコートからショットを打つように煽っていたことを明かしています。
自分「ルカ、パスせずにハーフから打ってみなよ」
ルカ「OK、見てろよ」
Me: “Luka don’t pass it, pull it from half..”
Luka: “Ok, Watch this”
Us both after:@luka7doncic 🤣 pic.twitter.com/Z1Wu667E0R
— Trae Young (@TheTraeYoung) February 15, 2020
それから、大勢が決した第4クォーター残り1分からは、ザイオン・ウィリアムソン(チームUSA)やブランドン・クラーク(チームWORLD)、ジャ・モラント(チームUSA)、RJ・バレット(チームWORLD)によるダンクコンテストも行われました。
これもまた、オールスターウィークエンドならではのユーモアな瞬間だったと言えるでしょう。
ザイオン・ウィリアムソンの異次元さ
2020年のライジングスターズに、タレントが欠如していたとは思えません。
ルカ・ドンチッチ、トレイ・ヤング、ジャ・モラントなど、既にNBAでスター級の活躍をしている選手たちを見て、観客も熱狂していました。
しかし、ザイオン・ウィリアムソンへの興奮は、全く次元が違うと言えるレベルにあったのではないでしょうか。
実際に、彼がボールを手にしたときの期待や、歓声は、他の選手よりも突出していました。
同年代のスターが集まるライジングスターズにおいても、別格の存在感を放っていたウィリアムソンは、やはり怪物です。
MVPはマイルズ・ブリッジズ
ザイオン・ウィリアムソン、トレイ・ヤング、ジャ・モラント擁するチームUSAが勝利することは期待されていましたが、前半終了時点ではチームWORLDが81-71でリードしていました。
しかし、この試合の流れを変えたのはウィリアムソンでも、ヤングでも、モラントでもなく、マイルズ・ブリッジズでした。
ブリッジズは第3クォーターだけで13得点を挙げ、この試合のハイライトの一つであるバックボードに当てたセルフアリウープを魅せ、最終的に20得点、5リバウンド、5アシスト、3スティールを記録し、2020年のライジングスターズのMVPに輝きました。
試合後、ブリッジズは「コーチが”本気でプレイしなければいけない”と言っていた」と、コーチの言葉を肝に銘じていたことを明かしました。
1年目 vs 2年目でもいいかもしれない
冒頭でも述べたように、ライジングスターズでチームUSAとチームWORLDが対戦するのは今回が6度目で、この対戦の歴史としては長くありません。
確かにこの対戦は、バスケットボールがいかに国際的なスポーツとなったかどうかを示すには素晴らしい機会ですが、必ずしもバランスの取れたロスターになるとも限らないでしょう。
チームUSAに才能のある選手が集まりすぎることによって、他に才能のあるアメリカ人選手がロスターに入れなかったり、あるいはインターナショナルの選手が少なく、チームWORLDのロスターが見劣りしてしまうこともあります。
そういったことを考えると、かつてのように1年目の選手と2年目の選手を対戦させる方式に戻すのも、悪くないかもしれません。
例えば今年で考えると、ザイオン・ウィリアムソンやジャ・モラント擁する1年目のチームが、ルカ・ドンチッチやトレイ・ヤング擁する2年目のチームと対戦するということです。
ウィリアムソンとモラントはアメリカ出身であるため、いずれにしても同じチームであることは変わりませんが、ドンチッチとヤングが同じチームになる可能性はありませんでした。
ドンチッチとヤングは、2018年のドラフトで互いにトレードされ、常に比較され続けているライバル的な関係でもあるだけに、彼らが同じチームでプレイする姿を見ても良かったはずです。
それ以外にも、2年目の選手たちは負けられないプライドを燃やし、1年目の選手は下剋上をしようと必死になることで、より白熱した試合を楽しむことができるようにもなるでしょう。
いずれにせよ、このライジングスターズは長年に渡って、何度も試合方式が変更されています。
もともと、ライジングスターズは1年目の選手だけで行われていましたが、そこに2年目の選手も加わるようになり、2012年からは元NBA選手が1年目と2年目の選手をドラフトしていく方式に変更されました。
チームUSAとチームWORLDの対戦は、両チームに質の高い選手が集まればうまくいく反面、そうでなければバランスが取れなくなってしまう可能性もあります。
一方で、1年目と2年目であれば、それぞれの年で注目される質の高い選手は現れるというものです。
ちなみに、この対戦は過去に計12回行われ、うち8回で2年目のチームが勝利しましたが、最後の2回は1年目のチームが勝利を収めました。
トレードの勝者の議論は終わった
2018年のドラフトでトレードが行われ、ルカ・ドンチッチを獲得したダラス・マーベリックスと、トレイ・ヤングを獲得したアトランタ・ホークス――どちらがトレードの勝者であるかという議論は度々ありますが、その結論は出たのではないでしょうか。
前半終了間際にドンチッチがハーフコートからショットを決めた時、観客は熱狂し、ドンチッチとヤングはあまりの面白さに笑い合い、誰もが幸せそうにしていました。
ヤングも30フィート(約9.1m)離れた位置から3ポイントシュートを沈めるなど、互いにハイレベルな対戦を楽しんでいました。
ヤングが18得点を記録し、ドンチッチが16得点を記録したことを見た後、どのようにすれば、どちらがトレード勝者であったと結論付けることができるでしょうか?
ドンチッチとヤングは今後もライバルとして描かれ続けるかもしれませんが、ドラフトの夜に起こったことに関して言えば、それは”Win-Win”と表現するのがベストなはずです。
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