新型コロナウイルスの影響でシーズンが中断される前でさえ、多くのチームは豪華な2021年のフリーエージェントに焦点を当てていたため、2020年のフリーエージェントのためにキャップスペースを空けているチームは多くありませんでした。
シーズンが中断された今、2020年のフリーエージェントはさらに盛り下がる一方だと言えるでしょう。
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2020年のオフシーズンで注目したい30人のフリーエージェント
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シーズンの中断、あるいは中止で分かりやすく影響が出るのは、来シーズンのサラリーキャップです。
NBAのサラリーキャップはバスケットボール関連収入(BRI)に基づいて予測され、リーグの財政状況によって変化するもので、過去7シーズンを含めた36シーズン中32シーズンでキャップは上昇してきました。
そして予測上では来シーズンも上昇することになっており、今シーズンの1億900万ドルから、来シーズンは1億1,500万ドルとなっていました。
ところが10月の中国との関係悪化に加え、3月11日以降のシーズン中断を考えれば、今年のBRIが急落することは明白です。
中には、シーズンの残りが中止されればリーグの損失は20億ドルまで肥大化し、サラリーキャップが9,500万ドルまで下がると考えるリーグ関係者もいます。
団体交渉協定にはサラリーキャップの急落を妨げることができる条項があり、収益が大幅に減少した場合は、リーグと選手会の話し合いによって双方が合意できるサラリーキャップを設定できるため、おそらくサラリーキャップが9,500万ドルまで下がることはないでしょう。
この条項はロックアウトでシーズンが短縮された2011-12シーズンに実際に適用されており、当時は前年のサラリーキャップであった5,800万ドルを、以降2年間も適用することで対処しました。
とはいえ、来シーズンのサラリーキャップに限らず、将来のサラリーキャップも不確実性が高いことを考えると、2020年にフリーエージェントとなる選手にとっては長期契約を結ばない方が無難です。
特にニューオーリンズ・ペリカンズのブランドン・イングラムや、トロント・ラプターズのフレッド・ヴァンブリートのような、このオフシーズンに大金を得られたかもしれない選手にとっては不都合な話となります。
また、サンアントニオ・スパーズのデマー・デローザンや、ボストン・セルティックスのゴードン・ヘイワードらは、3,000万ドルを超えるプレイヤーオプションを行使することでチームに残留する可能性が高まったと言えるでしょう。
一方で、2021年のフリーエージェントに焦点を当てていたチームにとっては、1年契約を提示する大義名分ができたとも言えるため、こちらにとっては都合のいい話となります。
ただし、来シーズンに多額の契約が既に保証されているゴールデンステイト・ウォリアーズやフィラデルフィア・76ers、ブルックリン・ネッツといったチームは、贅沢税を課せられる可能性があります。
来シーズンのサラリーキャップがどのように変動するかどうかにもよりますが、減少すればフリーエージェントの活発性はほぼ確実に失われるでしょう。