新たにフィラデルフィア・76ersのバスケットボール運営部門代表に就任したダリル・モーリーの最大の課題は、昨季に期待外れに終わったチームのロスターをどのように改善するのかということでしょう。
その手段の一つとして噂されているのが、以前までモーリーがゼネラルマネージャーを務めていたヒューストン・ロケッツのスーパースター――ジェームズ・ハーデンを獲得することであると、『The Athletic』のシャムス・シャラニア記者が報じています。
しかし、そのトレードが実現すると考えるのは時期尚早です。
シャラニア記者によれば、他のチームもハーデンの獲得に関心を示しているものの、現時点でロケッツはスーパースターを手放すことを拒んでいるようです。
「フィラデルフィアがハーデンに関心を示し、獲得に向けて動くことが予想されると聞いている」
「現時点で、ロケッツ側からは断固拒否のようだ。ロケッツはそのトレードによる成功の見込みが無いためだ」
"I'm told Philadelphia is expected to be interested in and pursue James Harden"
— Stadium (@Stadium) November 3, 2020
Our NBA Insider @ShamsCharania reports a Harden move for Houston is currently a non-starter. pic.twitter.com/7JaZH69WLt
モーリーとハーデンが過ごしてきた時間を考えると、76ersがハーデンの獲得に動き出すのは不思議なことではないように思えます。
しかし、モーリーは先日、76ersに今あるタレントを活かして優勝を目指すことができると意気込んでいました。
「ヒューストンではタレントを中心に、最高のチームを構築しようとしていた。しかし、ここでは(ヘッドコーチの)ドック(リバース)が、我々の持っているタレントを最大限に活かそうとしている」
「目標は3ポイントシュートではない。目標は勝つことだ。オフェンスで得点を挙げるにしても、方法は様々だ」
「NBAで勝つための最善の方法は、選手の才能を最大限に活かすことだと思う。選手の才能を奪ってまで、特定のシステムに当てはめることではない」
-
ジョエル・エンビードと共に優勝を目指すことにワクワクしているダリル・モーリー「ジョエルは支配的なビッグマン」
続きを見る
また、リバースHC(ヘッドコーチ)も以前、76ersのスターであるベン・シモンズとジョエル・エンビードのデュオが機能することを信じていると語りました。
「彼ら(シモンズとエンビードが出場した時)の勝率は65%だ。彼らが一緒のプレイすると、明らかに上手くいく」
「このチームはタレントが豊富だから、どうすれば最高の形で活かせるか考えるだけだ」
-
-
ベン・シモンズとジョエル・エンビードのデュオが機能すると信じるドック・リバースHC
続きを見る
仮にハーデンがトレード可能になったとしても、76ersは少なくともシモンズかエンビードのどちらか一方を放出しなければならないでしょう。
それでは、モーリーやリバースHCが考える「今のロスターで優勝を目指せる」という考え方に反することになります。
あるいは、今のロスターを「活かす」という言葉が「トレードの資産として活かす」という意味であれば話は別ですが、2人がそのような意図を以てコメントしたとは思えません。
また、チームの主力を変えるにしても、シモンズやエンビードよりも先にトバイアス・ハリスやアル・ホーフォード、ジョシュ・リチャードソンらを放出する方が、可能性としては高いはずです。
76ersはシモンズとエンビードのデュオで本当に成功できるのかどうかを見極めるべく、新たにリバースHCを迎え入れたのであり、もしロスターに問題があったと考えていたのならば、ブレット・ブラウン前HCを解任する必要は無かったでしょう。
76ersはこのオフシーズンに有名なヘッドコーチと、有名なフロントオフィスの一人をチームに引き入れました。
それだけでも、来季に優勝を望めるかどうかを見てみる価値はあります。
もし今の状態でも来季の優勝争いに及ばない――つまり、プレイオフで再び1回戦やカンファレンス準決勝で敗退するようであれば、その時はシモンズやエンビードをトレードして、ハーデンのようなスーパースターを獲得する噂に注目すべきです。
火のないところに煙は立たないとは言いますが、現時点でシモンズやエンビードを駒にしてハーデンを獲得するのは、結果を急ぎすぎて悪手になってしまうと考えた方が自然でしょう。
-
-
ロケッツの再建はまだお預けか、ジェームズ・ハーデンやラッセル・ウェストブルックの放出は今年ではない
続きを見る