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NBA選手がトレードを要求したとき、舞台裏では何が起きているのか

ジェームズ・ハーデンのようなスーパースターであっても、あまり注目を浴びることのないロールプレイヤーであっても、最近のマービン・バグリー三世の父親であっても、誰かがチームにトレードを要求する可能性は常に存在しています。トレードを要求する理由は、出場時間の少なさ、契約交渉における経営陣に対しての不満、チームの方向性など、人によってそれぞれです。

トレードの要求が発生した時点では、当然ながら我々どころかメディアもその事実を知りません。その間、舞台裏では何が起きているのでしょうか?選手や代理人、経営陣がどのような話し合いを行い、どのようにして情報がリークされるのか――。複数の代理人やチーム幹部が、『HoopsHype』とのインタビューでその真相を明かしています。

通常、選手がチームにトレードを要求する場合、選手の代理人がチームのGM(ゼネラルマネージャー)に電話をかけて要求を伝えます。話し合いは電話の中で、もしくは後日に二者間で直接会うことで始まります。ある代理人の一人は「かなり率直に伝える」と語りました。

「それが私のやり方だ。選手がトレードを希望すれば、それをチームに伝える。かなり率直に伝え、それが我々の要求であることを知ってもらう。彼らにとっても(話し合うことは)意味があるだろうということで、彼らと協力していくんだ」

トレードの要求の話し合いに進展が見られない場合、選手は現状を受け入れてチームに戻るか、時には行動を促すためにオーナーとのミーティングを要求することもあります。複数のスター選手と契約を結んでいる代理人は、実際に選手がオーナーに直談判したことを明かしました。

「選手のレベルにもよるが、私の場合は選手がオーナーに直談判して(トレードを)要求してもらったことがある。多くの場合、オーナーは代理人がでたらめを言っているのではないかと思っている。だから、選手がGMやオーナーに自身の口から言うことで、本気であると理解してもらえるようになる」

選手が経営陣やオーナーと話し合いを始めると、代理人はそれを裏から支援します。代理人が表立って動かない理由は、話し合いの誠実さが薄れるためです。長年に渡って代理人を務めた者の一人は次のように語りました。

「(選手と)互いに協力し合う必要がある。重い仕事は私が引き受け、軽い仕事を選手に頼む。コーチングスタッフやフロントオフィスとのコミュニケーションはどうなっているのか、コミュニケーションを取れているなら相手は何を伝えているのか、といったことを聞く。代理人が主導していることを悟られないように連絡をしてもらう」

代理人の中には、選手が移籍後も上手くキャリアを続けていけるように、事前に自身をチームの首脳陣に置き換えて考える者もいます。そうすることによって、代理人は選手の市場価値を客観的に知ることができ、選手が出場時間を得られそうなチームや、キャップスペースの観点から再契約を結べそうなチームを割り当てることができるためです。

ただし、要求したからといって簡単にトレードが成立するとは限りません。選手の契約が最終年の場合は尚更です。なぜなら、他のチームは短期的にプレイオフを勝ち抜くためのピースが欲しいと考えていない限り、再契約を結べる保証のない選手をドラフト資産などを手放してまで獲得したいとは思わないからです。

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トレード要求の話し合いが進展した後、次にやるべきことは情報のリークを防ぐことです。基本的に代理人は最初から情報を公開しようとはしません。あるチーム幹部の一人は、その理由について次のように説明しました。

「代理人は最初に情報をメディアに出したがらない。なぜなら選手がトレードを希望している時点で、チームは弱い立場からの交渉となっており、チームを単に動揺させてしまうだけだからだ」

しかし、交渉が進むにつれて双方の考えに相違点などが見られれば、情報がリークされることもあります。別のチーム幹部は次のように語りました。

「多くの場合、代理人と良好な関係を築けていれば、”移籍したいチームや、探しているものの候補を提示してくれ。そうすればいくらかグループ化して、アプローチすることができる”と言って進められる。しかし、時には代理人がせっかちで、すぐに情報を公開したがることもある」

トレードの要求が公になると、チームや選手はどのような影響を受けるのでしょうか?あるチーム幹部の一人は、チームの立場上からして「(選手の)望むトレードを成立させることが難しくなる」と語りました。

「代理人がリークすると、チームはメディアを利用して(獲得を狙う)他のチームが他のものを提示したと明かすようになり、入札戦争を引き起こす」

分かりやすい例の一つは、デンバー・ナゲッツ時代のカーメロ・アンソニーがニューヨーク・ニックスへのトレードを要求したことです。この情報がリークされたことにより、ナゲッツはニックスとブルックリン・ネッツの間に入札戦争を仕掛けました。交渉が進むにつれて、ナゲッツはメディアを利用してより良いオファーを積み上げていったのです。幸いにも、ニックスがティモフェイ・モズコフを加えたことが決め手となり、アンソニーは希望通りニックスに移籍しましたが、オファー次第ではペイサーズにトレードされていた可能性もありました。なぜなら、チームは自分たちにとって最善の利益を追求したためです。

当然ながらメディアへのリークによって全てのトレードが促進されるわけではありません。代理人と首脳陣が協力し、双方にとってWin-Winなトレードを行うこともあります。

ポール・ジョージのオクラホマシティ・サンダーからロサンゼルス・クリッパーズへのトレードは、その代表的なトレードの一つでしょう。カリフォルニア州出身のジョージは故郷に帰ることができました。サンダーは、カワイ・レナードがジョージと一緒にプレイしたいと考えている貴重な情報を活用し、彼と引き換えに複数の将来のドラフト1巡目指名権や、シャイ・ギルシャス・アレキサンダーといった有望な若い選手を獲得することができました。ジョージとクリッパーズで一緒にプレイできなかった場合、レナードはロサンゼルス・レイカーズとの契約を真剣に検討していました。

要約すると、我々がトレード要求の事実を知る前から、舞台裏では選手や代理人、経営陣の中で様々な駆け引きが行われていたということです。関係が悪化すれば、将来の契約やその他のビジネスにも悪影響を及ぼしかねません。選手はチームに対して誠実な意見をぶつけ、代理人は選手の希望を極力叶えられるように最善を尽くし、経営陣は選手と上手くコミュニケーションを取りつつ改善点や今後のことについて考えていく必要があります。そしてその過程で、メディアへのリークも”利用”されていたりするのです。

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