ヒューストン・ロケッツのスターであるラッセル・ウェストブルックがトレードを希望している噂が報じられたことによって、今や彼の移籍はリーグで最大の関心事の一つとなっています。
ただ、9回のオールスター出場経験や、リーグトップクラスの爆発力から得点を量産する才能を持っているウェストブルックですが、意外にも彼がフィットするチームはそれほど多くありません。
競争力のあるチームの多くは、既に優秀なガードの選手を手中に収めています。
そのため、ボストン・セルティックス(ケンバ・ウォーカー)やゴールデンステイト・ウォリアーズ(ステフィン・カリー)、ブルックリン・ネッツ(カイリー・アービング)、デンバー・ナゲッツ(ジャマール・マレー)、ユタ・ジャズ(ドノバン・ミッチェル)といったチームがウェストブルックの獲得に動くことは、あまり期待できないでしょう。
また、ロサンゼルス・レイカーズやフィラデルフィア・76ersは優秀なボールハンドラーを切望しているチームですが、彼らは同時にシューティングの能力も求めています。
昨季のウェストブルックの3ポイントシュート成功率が25.8%であったことを考えると、これらのチームに適合するとも思えません。
加えて、彼は2020-21シーズンに4,100万ドル、2021-22シーズンに4,380万ドルの契約が保証されており、2022-23シーズンに4,670万ドルのプレイヤーオプションを保持していることから、32歳のスターを獲得することには大きなリスクを伴います。
これらの条件を考えると、ウェストブルックを望むチームは限られてくるはずです。
ということで、ここではウェストブルックがトレードされる可能性のある4つのチームをピックアップしてみましょう。
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ラッセル・ウェストブルックがトレードを希望か「チームの説明責任と文化に不安」
ロサンゼルス・クリッパーズ
昨季に1試合あたりの平均パス回数でリーグ28位、アシスト回数でリーグ22位を記録したことが物語っているように、クリッパーズはオフェンス面で影響を与えられる優秀なポイントガードの選手を切望しています。
先月にはチームのスーパースターであるカワイ・レナードが、優秀なポイントガードを望んでいるとも報じられました。
懸念されるウェストブルックのシューティングは、昨季3ポイントシュート成功率 41.2%を記録したポール・ジョージが見事に打ち消してくれるでしょう。
むしろ、ウェストブルックのリムへのアタックを相手が警戒することによって、今以上にジョージは快適にショットを打つことが期待できます。
一方で、これはどのチームにとっても当てはまることですが、ウェストブルックとのトレードを成立させるためには、少なくとも彼の給与の80%にあたる選手を見返りとして放出しなければならないため、トレードを実現させるのは簡単なことではありません。
しかし、クリッパーズはトレードを成立させるための資産を持っています。
最も考えられる可能性の一つは、モントレズ・ハレルのサイン&トレードです。
クリッパーズはパトリック・ベバリー、ルー・ウィリアムズ、そして今年のオフシーズンにフリーエージェントを迎えるハレルを加えることによって、給与の面では条件を満たすことができます。
もしロケッツが若い有望な選手に興味を持っているのであれば、ウィリアムズに代えてイビツァ・ズバッツとランドリー・シャメットを含めることもできるでしょう。
ただし、それが思い通りに進むかどうかは別の話です。
サイン&トレードを行ったチームはハードキャップの対象となることで補強が制限されるため、ロケッツの合意を得るのはもちろんのこと、一時的に契約を結ぶハレルにも、大きな変化を迎えようとしているロケッツに移籍することに合意してもらう必要があります。
しかし、事実上追い詰められているとも言えるクリッパーズは、成功のためであればウェストブルックを獲得するリスクを負うこともいとわないかもしれません。
なぜなら、レナードとジョージは2021-22シーズンの契約がプレイヤーオプションとなっているため、もし来季に上手くいかなかった場合、クリッパーズは来年のオフシーズンに両者を失ってしまう可能性があるためです。
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カワイ・レナードはクリッパーズが優れたポイントガードを獲得することを望んでいる?
ニューヨーク・ニックス
1999年のプレイオフでNBAファイナルに進出して以降、ニックスは今に至るまでの間にわずか6回しかプレイオフに進出することができませんでした。
2013年のカンファレンス準決勝進出も、今となっては昔のことのように感じるでしょう。
結局のところ、彼らが勝利できない理由の一つは、常に言われ続けてきた「スター選手の存在」なのかもしれません。
実際、スターが不在だったマイアミ・ヒートは昨年のオフシーズンにジミー・バトラーを獲得し、たった1シーズンでNBAファイナルへ進出できるチームに変貌しました。
「スター選手の存在」は勝利のために重要視されるべきであり、ウェストブルックは今のニックスが掴むことのできる最大のチャンスの一つとも言えます。
ただし、ニックスはウェストブルックを獲得するリスクの大きさも知っておかなければなりません。
第一に、ウェストブルックはボールを支配することで真価を発揮する選手です。
そのため、RJ・バレットやミッチェル・ロビンソンといった若い有望な選手たちの成長が妨げられてしまう可能性があります。
第二に、ウェストブルックを獲得すれば、ニックスは今後3年間に渡って彼の給与に付き合っていくことになります。
当然、その期間で若い選手との契約延長にも直面するため、ニックスは将来的に難しい決断を迫られるかもしれません。
それでも、スター選手を獲得できずに嘲笑される現状を打破したいと考えるのであれば、ニックスはウェストブルックの獲得に動き出す可能性があります。
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ニックスが2020年のドラフト指名権のトレードアップを検討?
シャーロット・ホーネッツ
2004年のシャーロット・ボブキャッツ時代から今に至るまで、ホーネッツがプレイオフに進出できたのは3回のみです。
フランチャイズ史上最高の選手の一人であったケンバ・ウォーカーとの8年間の中でもプレイオフ進出はわずか1回であり、昨年のオフシーズンにはウォーカーが去ったことで、彼らは成功への道を完全に見失っています。
ウェストブルックが加入したからといって、ホーネッツが即座に優勝候補になるとは思いませんが、苦戦しているフランチャイズにとって大きな起爆剤となることは間違いないでしょう。
最近では、ホーネッツがウェストブルックの獲得に関心を持っていることを、『The Athletic』のシャムス・シャラニア記者が報じています。
来季で終了するニコラス・バトゥームの2,710万ドルの契約によってウェストブルックとのトレードの実現に近づけるだけでなく、ホーネッツは今年のドラフトの全体3位指名権も保持しているため、ロケッツを満足させるトレードを提示できるかもしれません。
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ホーネッツがラッセル・ウェストブルックの獲得に関心か
デトロイト・ピストンズ
歴史的に見てピストンズのオーナーであるトム・ゴアズは、チームにとって最善の選択肢が再建であったとしても、プレイオフに進出できるか破滅するか…という精神を貫いてきた人物です。
直近の例を挙げるとするならば、2018年1月にロサンゼルス・クリッパーズとのトレードでブレイク・グリフィンを獲得したことでしょう。
グリフィンはオールスターの常連であった2010年代前半の影響力こそ失っているものの、今でも効果的な先発選手としてチームに貢献し続けています。
リーグ屈指のビッグマンであるアンドレ・ドラモンドとのバックコートコンビは上手くいかなかったものの、フロントコートにスーパースターのウェストブルックを加えたらどのような変化が起きるのか、見てみる価値はあるかもしれません。
ウェストブルックの獲得は、決してフランチャイズの長期的な解決策と呼べるものではありませんが、競争力を得るために優れたタレントを追加するという意味では、ウェストブルックは十分にニーズを満たすことのできる選手です。
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全体7位指名権を持つピストンズ、ラメロ・ボールを指名するためにトレードアップを検討?