考察

2020年のオフシーズンにおける各チームの動きを評価【アトランティック編】

2020年のオフシーズンもNBAドラフトが終了し、フリーエージェント市場の熱もすっかり落ち着いてきました。この辺りで各チームの動きを評価してみるのも面白いでしょう。

今回はアトランティック・ディビジョンに属するボストン・セルティックス、ブルックリン・ネッツ、ニューヨーク・ニックス、フィラデルフィア・76ers、トロント・ラプターズの5チームを評価していきます。アトランティック・ディビジョンの競争力は依然として保たれているように見えます。少なくともセルティックス、ネッツ、76ers、ラプターズの4チームに共通することは、2020‐21シーズンのイースタン・カンファレンスの王者になる可能性を十分に秘めているということです。ただ、中には首脳陣やコーチ陣に変化を起こしたチームもあるため、それらの決定がどのように作用するかは注目したい部分の一つです。

ボストン・セルティックス

  • 昨季の成績:48勝24敗(.667)
  • 再契約・契約延長:ジェイソン・テイタム
  • 入団:トリスタン・トンプソン、ジェフ・ティーグ
  • ドラフト:アーロン・ニスミス(14位)、ペイトン・プリチャード(26位)
  • 退団:ゴードン・ヘイワード、ブラッド・ワナメイカー、エネス・カンター、ビンセント・ポワリエ
  • 評価:

少し前まで、ゴードン・ヘイワードが2020‐21シーズンの約3,410万ドルのプレイヤーオプションを破棄してフリーエージェントになるとは、考えられていませんでした。そのため、セルティックスは彼に代わる堅実な選手を獲得する計画を立てていませんでした。新たに獲得したトリスタン・トンプソンとジェフ・ティーグはどちらもローテーションに入るベテラン選手ですが、目標を成し遂げるためにはやや決定打に欠けているように思えます。

ただ、セルティックスがゴードン・ヘイワードをタダで失わなかったのは評価すべきでしょう。彼らはヘイワードの移籍先であるシャーロット・ホーネッツとサイン&トレードを成立させたことによって、約2,700万ドルの非常に大きなトレードエクセプションを獲得することができました。このエクセプションは他の選手と組み合わせてトレードで利用することができないため、単体で利用する必要があります。とはいえ、2,700万ドルもの価値があればスター級の選手を獲得することも、あるいは優秀なロールプレイヤーを複数人獲得することも可能になります。

ドラフト14位指名のニスミスは、同期の中でも最高のシューターの一人として評価されています。現代のNBAではシューターが重宝されるため、昨季のマイアミ・ヒートのタイラー・ヒーローのような即戦力となれば、セルティックスは優勝争いにより近づくことができるでしょう。

とはいえ、セルティックスが引き続きジェイソン・テイタムをリーダーに据えて戦っていくことには変わりありません。セルティックスとテイタムはこのオフシーズンに5年1億9,500万ドルのマックス契約で契約延長を結びました。もちろんそれは予想されていた動きであり、セルティックスが将来的に競争力を維持するためには必要な契約でした。

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ブルックリン・ネッツ

  • 昨季の成績:35勝37敗(.486)
  • 再契約・契約延長:ジョー・ハリス、タイラー・ジョンソン
  • 入団:ランドリー・シャメット、ジェフ・グリーン、ブルース・ブラウン
  • ドラフト:レジー・ペリー(57位)
  • 退団:ギャレット・テンプル、ジャスティン・アンダーソン、ウィルソン・チャンドラー、ジャナン・ムサ、ドンタ・ホール、ランス・トーマス、ジャマール・クロフォード
  • 評価:

ネッツは来季にケビン・デュラントとカイリー・アービングがようやく完全復帰を果たすため、多くの変化を望む必要がありませんでした。とはいえ、対処しなければならない2つの問題があったことも事実でした。そして、チームはそれらの問題をしっかり解決してみせました。

1つ目はジョー・ハリスとの再契約です。ハリスとの契約は4年7,500万ドルと決して安くはないものの、3年連続で3ポイントシュート成功率 40%以上を記録しているリーグ屈指のシューターを手放すことは、それ以上の損失でもありました。

2つ目は新たなコーチの雇用です。指揮経験の無いスティーブ・ナッシュをヘッドコーチに就任させたのはリスキーな印象がありますが、彼の選手時代の偉業を考えれば、デュラントやアービングのようなスターに責任を負わせるには適任なのかもしれません。また、アシスタントコーチには昨季までヒューストン・ロケッツで指揮を執っていたマイク・ダントーニや、フェニックス・サンズ時代にナッシュのチームメイトだったアマーレ・スタウダマイアーが就任しました。優勝争いに加わることを望む中でも、実績だけに囚われなかった雇用の方法は注目に値するでしょう。

また、ネッツは必要最低限の仕事を完了させつつ、ランドリー・シャメットやジェフ・グリーンといった侮れない補強も行っていました。

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ニューヨーク・ニックス

  • 昨季の成績:21勝45敗(.318)
  • 再契約・契約延長:エルフリッド・ペイトン、テオ・ピンソン
  • 入団:オースティン・リバース、ナーレンズ・ノエル、アレック・バークス、マイケル・キッド・ギルクリスト、オマリ・スペルマン
  • ドラフト:オビ・トッピン(8位)、イマニュエル・クリックリー(25位)
  • 退団:ボビー・ポーティス、モーリス・ハークレス、デイミアン・ドットソン、ウェイン・エリントン、タージ・ギブソン
  • 評価:

ニックスは注目のフリーエージェントであったフレッド・ヴァンブリートやゴードン・ヘイワードを獲得することができなかったものの、低リスクで悪くない契約をいくつか結ぶことができました。ニックスは目先の成功よりも、多くのスター選手がフリーエージェントとなることで注目を集めている2021年のオフシーズンに焦点を当てています。そのため、オースティン・リバースやナーレンズ・ノエル、アレック・アレック・バークスといった選手たちを将来の計画に組み込むべきか、じっくりと見極めることができるようになります。彼らはローテーションプレイヤーとしてチームに貢献することができるような選手ですが、望まなければニックスは来年のオフシーズンに彼らと別れることができます。

これはニックスが将来を見据えてこれまでも試してきた常套手段です。今のところ成功には繋がっていませんが、上手くいけば2021‐22シーズン以降に大きな飛躍が望めるのは確かでしょう。その代わり、2020‐21シーズンの期待値はご存知の通りです。

ただ、2021年のオフシーズンに向けて、魅力的な移籍先になるための準備が着々と進んでいるような印象はあります。指揮官には2010-11シーズンに最優秀ヘッドコーチ賞を受賞した経験のあるトム・シボドーが就任し、RJ・バレットやミッチェル・ロビンソンといった若い有望なタレントには、ドラフト全体8位指名のオビ・トッピンが加わりました。

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フィラデルフィア・76ers

  • 昨季の成績:43勝30敗(.589)
  • 再契約・契約延長:ライアン・ブローコフ
  • 入団:セス・カリー、ドワイト・ハワード、ダニー・グリーン、テレンス・ファーガソン、デリック・ウォルトンJr.、トニー・ブラッドリー
  • ドラフト:タイリース・マクシー(21位)、アイザイア・ジョー(49位)、ポール・リード(58位)
  • 退団:アル・ホーフォード、ジョシュ・リチャードソン、アレック・バークス、グレン・ロビンソン、カイル・オクイン、ハウル・ネト、マリオル・シェイオク、ノーベル・ペレ
  • 評価:

76ersのイメージチェンジはトップから行われていきました。バスケットボール運営部門はサム・ヒンキーからダリル・モーリーに代わり、指揮官はブレット・ブラウンからドック・リバースに代わりました。今の76ersは明確なアイデンティティを持っているように感じます。

トレードやフリーエージェントが解禁される前、既にキャップスペースを埋め尽くしている76ersが補強をすることは望み薄のように思われていました。しかし、彼らはそのような状況の中でも、チームのニーズに合わせた堅実な補強をすることに成功しました。

アル・ホーフォードのトレードは名目上ではサラリーダンプのような形ですが、対価として76ersはダニー・グリーンを獲得することができました。昨季のグリーンの成績は振るわなかったものの、2019年のトロント・ラプターズの優勝に貢献したようなパフォーマンスを取り戻すことができれば、76ersはより堅実なチームへとアップグレードされるでしょう。ジョシュ・リチャードソンとのトレードでは、昨季3ポイントシュート成功率 45.2%を記録したセス・カリーを獲得しました。さらに、昨季のロサンゼルス・レイカーズの優勝に貢献したドワイト・ハワードとミニマム契約を結び、ジョエル・エンビードのバックアップ要員を確保することもできました。

ベン・シモンズとエンビードの相性の懸念は残っているものの、少なくとも彼らの周囲を盤石の布陣で固めることはできたと言えるでしょう。これらは新たな首脳陣の成果であり、来季の76ersがどれだけイーストの脅威となるのか楽しみにさせてくれます。

トロント・ラプターズ

  • 昨季の成績:53勝19敗(.736)
  • 再契約・契約延長:フレッド・ヴァンブリート、クリス・ブーシェ
  • 入団:アーロン・ベインズ、アレックス・レン、ディアンドレ・ベンブリー、ヘンリー・エレンソン
  • ドラフト:マラカイ・フリン(29位)、ジェイレン・ハリス(59位)
  • 退団:サージ・イバカ、マルク・ガソル、ロンデイ・ホリス・ジェファーソン、マルコム・ミラー、デュワン・ヘルナンズ
  • 評価:

ラプターズは2021年のオフシーズンに焦点を当てているチームの一つであるため、キャップスペースの柔軟性を保つのは優先事項の一つでした。フレッド・ヴァンブリートとの再契約はそれ以上に最優先事項と呼べるものでしたが、サージ・イバカとマルク・ガソルはそうではなかったため、逃がしてしまったのは仕方のないことだったのかもしれません。

フロントコートの穴を埋めるため、ラプターズはアーロン・ベインズ、アレックス・レンと契約を結びました。とはいえ、やはりイバカ、ガソルと比較すると、少しロスターがダウングレードした感覚は否めません。ディアンドレ・ベンブリーとの契約は、昨年の夏にロンデイ・ホリス・ジェファーソンと結んだ低リスクな賭けのようなものでしょう。

全体的に見ると、ラプターズは依然として優秀な選手に恵まれているような印象があります。しかし、昨季のカンファレンス準決勝で敗れたロスターをアップグレードしたとは言い難いことから、来季の優勝争いにはやや不穏な空気が漂っています。

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  • 原著:Marcus Thompson,2
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  • 翻訳:東山 真

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